満足を基準に人生決める?

経済学では皆が完全合理性をもっていて、各人の行動を最適化できるという前提で構築されています。ゲーム理論などでは多少フレキシブになってきていますが、基本的に完全合理的な意思決定を前提にしています。

しかし、本当にそうかということで、経営学からの批判で生まれたのがBTFです。BTFとは、Behavioral Theory of Firmの略で企業行動理論のことです。一言でいうと、自然人や法人であれ、人には合理性に限界があるので、それを踏まえて意思決定しましょ、ということ。じゃ、どうやって意思決定しているかというと、満足基準です。一応、合理的に判断しようとするけど、認知できる情報や範囲に限界があり、最適な1番を選べないから、一定の満足基準を超えていれば、それに決めましょうということです。

例えば、個人が、結婚相手を選択するときも満足基準が当てはまるかなと思います。どの程度の水準であれば満足とするのか、どこまで探索するのかにより、相手も変わってくるかと思います。ただ、最近は、アプリなんかも発達しているので、身近なグループからというより、かなり広い範囲から相手を探せるので、より、最適基準に近くなってきているようにも感じています。技術革新の恩恵ですね。

さて、満足基準の意思決定のプロセスは、以下のような感じです。

  • 満足 ⇒ 特に行動なし ⇒ 結果不変

  • 不満足 ⇒ 探索・サーチ ⇒ 結果↑

現状に満足せずに、探索行動をとると、認知できる世界が広がり選択肢が増えますので、結果が良くなっていきます。逆に、現状に満足していると、特に探索行動はとりませんので、認知領域は変わらず、結果が良くなりません。過去の成功体験などで、現状に満足してしまうと、実際には、より良い選択肢が存在するにもかかわらず、サーチがなされず現状維持となってしまいます。サーチ行動は時間と労力を要し認知的な負担も大きいので、これは普通のことです。

目標を設定したり、目線の高さ(アスピレーション)を上げた場合はどうでしょう。

  • アスピレーション↑ ⇒ 満足度↓

目線が高くなると、もっとできるはずだということで、満足度は下がり、サーチをするようになるので、結果がさらに良くなるという好循環になることが分かります。

つまり、うまくいっているときは、現状に満足して慢心することなく、目線を高くして、現状をより良くするために探索することが大切になります。

参考文献
入山章栄「世界標準の経営理論」

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