自己肯定感

自己肯定感

自己肯定感をもたらすものには外発的なものと内発的なものがあります。

外発的なものは、他人との比較で自己が高い評価を得るような場合です。例えば、成績や給料が上がったとか、物事がうまくいって他人から褒められたとかです。

この外発的なものをベースにした自己肯定感は短期的には有効ですが、長期で依存すると心身ともに悪影響があるとのことですので、気を付けたいところです。

一方で、内発的な自己肯定感とはどういったものになるのでしょうか。

まず、一般的な特徴として、人間はポジティブな気持ちよりネガティブな気持ちの方に強く反応する傾向(negativitiy baia)があるようです。

こういった傾向があるなかで、どうやって内発的な自己肯定感を醸成するかというと、自己受容(self-acceptance)と自己価値(self-worth)があります。

自己受容とは、理想の自分とかではなく、ありのままの自分を受けいれることです。これができると精神的にも安定して、幸福感も高くなります。

自己価値とは、ありのままの自分を受け入れたうえで、その自分に対してありがたく思う気持ちを持つことです。

ネガティブ思考への対処法

ネガティブな気持ち自体は、将来の学習効果を高めるための生存戦略として人間に備わった大切な機能です。

ただ、それが行き過ぎると心身ともに病んでしまいますので、人間はうまく適応する術を持っています。

一つは、ネガティブな事象が生じたときに、本当にネガティブなことなのかを疑い、ポジティブに変換するなど、その事象に対する自分の受け止め方を変容させることで、自分の気持ちを守る方法です。このディフェンス型の心の適用力のおかげで心身の健康が守られる側面があります。

もっとも、人間は認知に限界があるので、周りの状況をきちんと把握しているとは限りません、過去の経験からバイアスがかかっている可能性があります。そこで、さまざまな視点から受け止め方を修正できないかチェックすることも有効です。

とはいえ、ディフェンスばかりだと成長につながりません。

もう一つの対応方法は、複数の顔(ペルソナ)を持つということです。仕事でへこんでも趣味や家族との関係には影響ないですので、いろいろな自分の顔を持つことで、1つの顔に対する脅威があっても、他の顔で自己肯定することが可能になります。

日常的に自己肯定をしておくことで、プレッシャーやストレスそして違う意見に対しても鋼のメンタルをつくれます。

この日常的な自己肯定のエクササイズとして、TGT(Three Good Things)があります。3つの良いことをその日の終わりに振り返るというものです。ポジティブ心理学の代表的なエクササイズです。可能なら紙に書くのが有効のようです。

心身の健康

やはり、自己肯定感を持つためには、考え方を変容させるだけでは十分ではなく、運動など身体の調和も大切です。

筋トレだけでなく有酸素運動を取り入れて、週に数回計150分程度の運動を長期で続けるのがよいとのことです。それから自然に触れることが有効とのことなので、公園などのウォーキングはさらに良いでしょう。

それから、睡眠については、寝不足も寝すぎも注意ということで、個人差もありますが、1日に7~8時間ぐらいとるのが良いようです。

また、食事にも気をつける必要があります。ベガス神経というのがおなかや内臓と脳をむすんでいて、やる気などにも作用するということです。味噌汁、納豆、魚やヨーグルトやチーズなどの発酵食品(プロバイオティクス)や食物繊維(プレバイオティクス)などを摂ることを心がけ、甘いものや、スナック菓子などはできるだけ避けるようにしましょう。

思いやりと感謝

人間は、どうしても周りの目が気になってしまいます。自己肯定感は、自分が周りの人にどのくらい受け入れられているのかによっても左右されます。これは、進化の過程で、周りの仲間に受け入れてもらったり好かれた行動をすることが生存に有利だったからだと考えられます。

とはいえ、周りが実際にどう思うかというより、最終的には、自分がそれをどう感じるかということになります。なので、周りに優しく親切にすることで、実際に周りがどう思っているか別として、自分の中では、周りから受け入れられていると感じやすくなると思います。

つまり、利他的な気持ちで他人に親切な行動をとると、自己肯定感が醸成されやすくなります。これは、人間の根本的な3つの欲求を満たすことができるからです。この3つの欲求とは、①人とのつながりである関係性、②何かをできたと思える有能感、③強制ではなく自分の意思でやっているという自律性です。

また、感謝の気持ちをもつことは、自己肯定感を高めます。これは、他人に感謝するということは、相手がしてくれた自分への行動に対しての感謝、すなわち、相手が何かを提供したいと見出してくれた自分に対する価値を認識することにつながるためです。

まとめ

自己肯定感を高めて、心身ともに充実した生活をおくるためには、ネガティブな事柄への受け止め方をポジティブ方向に変えてみたり、1日に3つの良いことを思い出したり(TGT)、周りに感謝されるような自分になれるようにしっかり努力し、規則正しい運動、食事や睡眠を摂るという小学生でも知っている当たり前のことが重要になるという話でした。

とはいえ、言うに易しで、実践するのは、なかなか難しいです。

参考文献
星友啓「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」

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